著者
大塚 孝夫
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.105-122, 2017 (Released:2017-11-20)

国際社会に於ける国家以外の行為主体(アクター)の代表的存在である、政府間国際組織の典型にして最大の国連に関する研究は、従来から国際機構論としてその目的・構成・機能等に的が絞られており、又その延長線上での「国連改革」であろう。しかしながら「国際関係」の舞台での国連の実相は目的・構成・機能を研究することだけでは探求できない。何故なら国連創設をめぐる諸般の世界情勢に端を発し、以来関係各国の思惑や国際政治力学・経済権益、全人類的課題への取り組み姿勢の相違等々、国際社会の様々な現象が国連諸機関の存在そのものの根源に深い影響を与えているからに他ならない。本稿では従って単なる表面上の事象だけではなく、まず国連創設時の時代背景を観察・分析した上で、国連の本質的側面を分野ごとに責任を持つ国連専門機関、なかでも国連工業開発機関(United Nations Industrial Development Organization – UNIDO「注1」)に焦点を当て、設立に到る経緯、特にその外的要因の分析を経て、担当責任分野であるところの国際経済協力・国際開発援助の主だった視点から国際関係, なかんずく多国間関係の本質を考察する。