著者
安達 實 大塚 安兵衛 北浦 勝
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.331-336, 1999-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
38
被引用文献数
1

富山県の主要な河川は、北アルプスなどの急峻な山岳地帯に源を発し、平野部を貫いて富山湾に注いでいる。これらの急流河川は有史以来、幾度となく氾濫を繰り返し、田畑や人家に大きな損害を与え、多くの人命をも奪ってきた。なかでも急流荒廃河川として名高い常願寺川の藩政期から明治期にかかる治水対策は壮絶を極めた。特に1858 (安政5) 年越中・飛騨地方を襲った大地震は立山山中で大きな土砂災害を発生させ、常願寺川の上流から下流一帯を泥海化し、大災害をもたらした。治水的観点から、その対応について述べる。