著者
大岡 均至
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.177-183, 2016

<p> (目的) 症状の安定した女性間質性膀胱炎症例に対するdietary manipulation(以下DM)の効果につき検討する.</p><p> (対象と方法) 当院で加療中の女性間質性膀胱炎症例20例を対象とした.当院栄養管理室と連携し,間質性膀胱炎食を作成(熱量;1,500kcal,タンパク質;65g,脂質;40g,炭水化物;220g,水分1,000ml,塩分;7g),この栄養量に準拠して,個々の症例に最適な以下の食品を可及的低減する食事メニューを提供し,3カ月後のO'Leary & Santの症状スコア・問題スコア(以下OSSI,OSPI),尿意切迫感(以下U),膀胱痛・骨盤痛(以下P),QOL indexの変化を検討した.</p><p>除去した食品;トマト製品,大豆製品,香辛料,カリウムの豊富な食品,柑橘類,酸味の強いものなど</p><p> (結果) OSSI,OSPIは各々11.7→10.1(p<0.0001),10.7→8.8(p=0.01)と改善が認められた.Uは6.4→5.2(p<0.0001),Pは6.5→4.8(p<0.0001),QOL indexも5.1→3.9(p<0.0001)と有意な改善が認められた.</p><p> (結論) 食事に関する注意点等を頻回に診察時に説明していたにも関わらず,系統的なDMによって症状の改善が認められた.他の治療法には変更を加えず非侵襲的な本治療法は試みられるべきであろう.</p>
著者
大岡 均至 野瀬 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.601-609, 2005-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

(目的) 携帯型3次元超音波断層装置 (DIAGNOSTIC ULTRASOUND 社製 Bladder Scan ™BVI6100) を用い, 100ml以下の膀胱容量の測定値を中心に検討した.(対象と方法) 男性66名, 女性34名の計100名. BVI6100を用い, 全例に対して男性モードと女性モードにおける1回空打ちの後の3回の計測値の平均値と導尿により得られた実測値との相関を検討した. 誤差率を大きくする因子や測定誤差を小さくする測定手技についても考察した.(結果) 全症例実測値はBVI6100の男性モードにおける1回空打ちの後の3回の計測値の平均値と良好に相関し, 相関係数0.887, 誤差率-4.6±24.5%, 平均変動係数15.2であった. 測定結果は症例側の要因 (膀胱壁と尿との境界面の描出, 膀胱壁の肥厚, 膀胱壁の不整, 膀胱の扁平率, 男性における前立腺の膀胱誤認や女性モードにおける膀胱の子宮誤認等) や験者側の要因 (BVIと腹壁との角度, 腹壁とプローベのフィッティング, プローベの手振れのコントロール等) により影響を受けることも判明した.(結論) BVI6100は, 適切な症例を選択し正しい測定法を行えば経腹的超音波断層検査の各種測定値を凌駕する計測値を得ることが可能で, 100ml以上の膀胱容量に対してもより簡便で正確な計測が可能な機器である.
著者
大岡 均至
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-6, 2018 (Released:2018-07-04)
参考文献数
22
被引用文献数
1

【目的】スニチニブ投与に合併する口腔粘膜炎(OM)に対する半夏瀉心湯(HST)含嗽の臨床的有用性につき検討する。【対象と方法】対象はOM を発症した22例。12例に対してはHST を2.5g∗3回,食後30秒間含嗽後飲食を控えるよう指導(HST 含嗽群),他の10例に対しては含嗽以外の治療を行った(HST 非含嗽群)。治療前後における,KPS・OM グレード・体重・アルブミン(Alb.),ヘモグロビン(Hb.)・摂食状況の変化につき検討した。 【結果】HST 非含嗽群におけるOM グレードや摂食状況の改善は不良であったが,含嗽群では,開始翌日からOM は改善,摂食も好転し,体重・Alb.・Hb. 低下を認めなかった。【考察】HST は,含嗽により癌化学療法に伴うOM に対しても有効である。含嗽によりOM がより早期に改善し,摂食が好転することで,全身状態の増悪が軽減されたものと考えられる。