著者
山野邊 進 川元 博 大嶽 憲一
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.149, no.4, pp.180-185, 2017 (Released:2017-04-04)
参考文献数
33

多くの製薬企業では,過去の創薬研究で合成した化合物や外部から入手した化合物をデータベース化し,各種試験に素早く使用できるよう保管庫に管理している.このような化合物コレクションを「化合物ライブラリー」と呼ぶ.化合物ライブラリーのスクリーニング試験から見出されたヒット化合物は,薬理活性・物性・薬物動態・安全性の観点から最適化され,膨大な試験を繰り返しながら前臨床候補化合物となる.当然,ヒット化合物に物性・薬物動態・安全性の問題があれば,その克服には多くの試験や期間が費やされてしまう.このため化合物ライブラリーには,創薬の出発点として相応しい物性・薬物動態・安全性の懸念の少ない化合物が求められる.本稿では,このような要求に応える高質な化合物ライブラリーを設計するための考え方や技術を解説し,最後に化合物ライブラリーを取り巻く最新動向を紹介する.