著者
大川 唯 田中 敏幸
出版者
特定非営利活動法人 パーソナルコンピュータ利用技術学会
雑誌
パーソナルコンピュータ利用技術学会論文誌 (ISSN:18817998)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.1-7, 2017 (Released:2019-11-03)
参考文献数
9

近年,社会の高齢化に伴い脳卒中患者数が増加する傾向にある。多くの脳卒中患者は,脳機能に後遺症が 出るため,リハビリテーションが必要となる。認知障害等の高次機能障害におけるリハビリテーションは,重要な問題の一つとなっており,その検査法として三宅式記銘力検査が知られている。この検査は,有関係語対と無関係語対を読み上げて被験者に記憶させ,記憶した語対の一方を提示して,対をなす語を答えさせる検査法である。つまり,聴覚から脳に刺激を与えて検者の認知能力を調べる方法となっている。この検査法は,検者による検査手順のばらつきが大きく,主観的な検査方法となっている。本研究では,三宅式記銘力検査における検査結果のばらつきを低減し,パーソナル検査を可能にするために,実験そのものをAndroid タブレットのアプリケーション(Android アプリ)によって行う方法について提案する。従来法と異なり提案手法は視覚情報による脳刺激となっているため,提案法と従来法における脳への刺激の違いをfNIRS による脳血流の計測結果から検討する。実験の結果として,従来法とAndroid アプリ法における検査時の脳血流の差異が少なく,従来行われている三宅式記銘力検査をAndroid アプリによって行うことができることを示している。