著者
塙 隆夫 大川 昭治 近藤 清一郎 小林 紘孝 菅原 敏 太田 守
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.39-44, 1985-01-25

歯科遠心鋳造法によって得られた等軸晶組織を示すNi-Cr合金の凝固機構を定性的に考察した.鋳造物の凝固を調べるために幾つかの実験を行ったところ, 次の結果が得られた.すなわち, 鋳造組織内の結晶粒は遠心力方向にあるものほど, また, スプルー直下の結晶粒はスプルー直径が大きいほど, 微細であり, 鋳型内に棚を付けると棚より下では結晶粒は比較的粗大であった.これらの結果は, 結晶が溶湯の流入による機械的対流と温度差による熱的対流とによって鋳壁から離れ, 遠心力によって溶湯内を移動して鋳型底部に堆積するという理論で説明できる.特に, スプルー部分の凝固は結晶粒がスプルー上部に堆積して詰まることによるものであると推察した.