著者
大庭 裕貴 光来 健一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.3, pp.1-10, 2015-02-19

仮想化システムには状態が時間とともに劣化していくソフトウェア・エージングが発生しやすいが,この現象にはソフトウェア若化と呼ばれる手法で対処することができる.ソフトウェア若化の際の仮想マシン (VM) のダウンタイムを削減するには,VM をあらかじめマイグレーションしておく必要がある.しかし,VM マイグレーションはシステムに大きな負荷をかけてしまい,そのシステム上で動作する VM の性能にも影響を及ぼす.そこで本稿では,ゼロコピー・マイグレーションを用いて,仮想化システムの軽量なソフトウェア若化を実現する VMBeam を提案する.VMBeam では,仮想化システムをソフトウェア若化する際には,ネストした仮想化を用いて同一ホスト上で別の仮想化システムを動作させ,その仮想化システム上にすべての VM をマイグレーションする.この際に,VMBeam は VM のメモリをコピーすることなく直接新たな仮想化システム上に再配置する.VMBeam を Xen に実装し,マイグレーションの時間の短縮およびシステム負荷の削減を確認した.