著者
和泉 俊平 髙橋 さやか 大村 優太 高桑 昌幸
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.152-156, 2021-02-01

は じ め に 超高齢社会に伴い,骨粗鬆症のほか易転倒性などロコモティブシンドロームやフレイルが喫緊の問題になっている.このような現状のなか,理学療法が担う役割として,従来の治療的な取り組みだけではなく予防的な理学療法が必要である. 高齢者のロコモティブシンドロームやフレイル,円背姿勢は身体機能を低下させる.その結果,転倒リスクの増加を招き,脊椎椎体骨折など日常生活動作(ADL)障害が発生し,最終的には生活の質(QOL)の低下,健康寿命の短縮につながるとされている1).一方で体幹筋の筋力強化を図ることにより,脊柱骨盤帯が安定し,身体機能やバランス機能の改善につながるという報告があり2),高齢者が体幹筋の筋力強化を行うことは重要である.しかし,従来の体幹筋トレーニング方法では,高齢者にとって負荷が強く,また疼痛や脊椎変形によりトレーニングの実施,継続が困難となる背景がある3). われわれは,ロコモティブシンドロームに該当する高齢者5名を対象として,簡便に体幹筋力の測定が可能で,同時にトレーニングも可能な機器である体幹筋トレーニング装置(RECORE:日本シグマックス社,東京)を用いて2週間トレーニングを施行し,ロコモ度,動的バランス,Safety Walk Navi(デサントジャパン社,大阪)を用いた歩行平均加速度の変化について短期間の結果を検討し報告する.