著者
大林 武久
出版者
熊本大学
巻号頁・発行日
2011

黄色ブドウ球菌は、血液凝固異常併発により治療困難となるグラム陽性菌敗血症や細菌感染による心内膜組織破壊によって誘発される細菌性心内膜炎の主要な原因菌である。この菌が分泌するシステインプロテアーゼであるスタホパイン(staphopain)には、スタホパインA(staphopain A)とスタホパインB(staphopain B)の2種類が存在し、いずれも敗血症などの感染症病態に密接に関与しており、重要な病原因子として認識されている。そこで、凝固異常と組織破壊に直結するスタホパインの病原作用を研究するために、スタホパインの血漿凝固誘導およびコラーゲン(主要な結合織成分の1つ)分解作用を調べた。