- 著者
-
大林 準
- 出版者
- 公益財団法人 天理よろづ相談所 医学研究所
- 雑誌
- 天理医学紀要 (ISSN:13441817)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.2, pp.71-79, 2016-12-25 (Released:2016-12-25)
- 参考文献数
- 24
- 被引用文献数
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8
医学統計において,多変量解析で用いられる統計手法の一つにロジスティック回帰分析がある.ロジスティック回帰分析は,目的変数が,「生存・死亡」や「陽性・陰性」といった名義変数の場合に用い,治療( 介入) の効果について,目的変数に関わる因子(共変量)が回帰式にどの程度関与しているかを解析するものである.ロジスティック回帰モデルでは,その結果に対する確率をP とし,共変量をx1,x2 ... とした場合, log ( P /(1-P )) =b0 + b1 x1 + b2 x2 ... といった式で表せる.無作為化されていない後ろ向き研究においては,交絡因子とされるものが,解析結果に対して影響を及ぼすことがたびたび見られる.交絡因子の調整方法として,近年,傾向スコア(propensity score) 解析が提唱され,この傾向スコアには,ロジスティック回帰分析で求めた予測確率を用いる.傾向スコア解析とは,潜在的な交絡要因となる様々な共変量を,傾向スコアという一つの合成変数に縮約( 一次元化) し,その傾向スコアを基準として,交絡因子の影響を除去するためにマッチングや層別化等を行うものである.