著者
田中 秀数 大沢 明 二国 徹郎 押川 正毅
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.110-114, 2001-02-05

基底状態が磁化をもたない1重項で,励起状態との間に有限の励起ギャップをもつ,スピンギャップ系とよばれる物質が近年数多く見つかってきた.このスピンギャップ系にギャップを壊すほどの強い磁場を加えると,ある温度で相転移が起き磁気秩序が生ずる.本稿ではTlCuCl_3で観測されたこの磁場誘起相転移と,これが磁気励起であるマグノンのボース・アインシュタイン凝縮として理解されるに至った経緯を述べる.