- 著者
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榊原 博樹
谷口 正実
大河 原重栄
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.621-629, 1996-06-15
医薬品添加物は製剤の適用性(溶解補助,pH調節,等張化,吸収促進,安定化,成型など)をたかめ,医薬品の有効性と安全性を維持するために不可欠なものとされている.しかし,医薬品添加物に関しては使用品目の制限や使用量の基準は作られていないようである.製剤として有効成分とともに承認前の臨床試験を経てきており,これをもって安全性の検討はなされたものと解釈されている.一方,食品添加物は340品目余りが許可されており,対象食品の規定や一部に使用量や使用制限の規定も明らかにされている.そのうちの一部は医薬品にも共通して用いられており,その存在すら意識されずに摂取されている.ところが,食品・医薬品添加物のなかには一部の気管支喘息や蕁麻疹患者に過敏反応を惹起するものがあり,その増悪因子として注意する必要がある.特に非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti—inflammatory drugs,NSAID)に過敏な,いわゆるアスピリン喘息(aspirin-induced asthma)やアスピリン過敏性蕁麻疹をもつ患者に食品・医薬品添加物過敏症が多い.注意すべき添加物は,食用黄色4号(タートラジン),その他のタール系色素(食用黄色5号=サンセットイエロー,赤色102号=ニューコクシン,赤色2号=アマランス),安息香酸ナトリウム,パラオキシ安息香酸エステル類,亜硫酸塩類である.