著者
松下 由美 高田 康徳 松田 藍 川村 良一 大沼 裕 大澤 春彦
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.475-481, 2016-07-30 (Released:2016-07-30)
参考文献数
15

低血糖により自律神経系の活動と関連した不整脈や心血管イベントが増加することが報告されている.今回,インスリン依存状態の1型糖尿病症例において,continuous glucose monitoring(CGM)とホルター心電図を同時に施行し,夜間低血糖時における心電図と自律神経活動の変化を解析し得たので報告する.症例は77歳男性,病歴30年の緩徐進行1型糖尿病患者.入院中のCGMで,睡眠中に約4時間持続する低血糖を認めた.ホルター心電図の心拍変動解析では,同日の睡眠中の非低血糖時に比し,低血糖時に交感神経活性指標(LF/HF)の亢進,副交感神経活性指標(HF)の減少,同時に心室性期外収縮,QTc延長を認めた.CGMとホルター心電図の併用は,夜間低血糖の把握のみならず,低血糖時の自律神経系の変化およびそれと関連した不整脈を検出するのに有用と考えられる.