著者
糀谷 斉 大泉 賢吾
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.111-120, 2009-04-10
参考文献数
13

シクラメンの品質保持期間である日持ちと栽培方法の関係を解析した。従来の研究とは異なり、栽培方法に関しては単一要因ではなく体系的に捉えた要因を分析対象とした。また、日持ちは消費者が観賞価値を有すると考える期間とし、同一環境下に複数の生産者のシクラメンを設置して日持ちを比較した。日持ちと栽培方法の関係を解析するための分析方法は数量化Ⅰ類を用いた。分析の結果、品質保持期間に影響した栽培要因は、鉢培養土の種類、出荷1 ヶ月前の温度設定、夏期の遮光率であった。しかし、贈答用を想定した初期の品質が維持された期間と、家庭用を想定した全観賞期間では、日持ちに影響した栽培方法の組み合わせは異なった。この結果から、生産者が日持ちの特性に応じた栽培方法を選択することで、贈答用向きや家庭用向きのような日持ちに特徴のあるシクラメンを生産できる可能性が示唆された。