著者
大清水 岳史 井龍 康文
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.108, no.5, pp.318-335, 2002-05-15 (Released:2008-04-11)
参考文献数
34
被引用文献数
11 11

沖縄本島中部の勝連半島沖の島々には,主に第四紀更新世のサンゴ礁性堆積物よりなる琉球層群が分布する.本層群は,砂質石灰岩・石灰質砂岩よりなる上部鮮新統~下部更新統の知念層を整合関係で覆う.調査地域の琉球層群はその主体を占める与勝層と,それを不整合で覆う港川層より構成される.与勝層は5つのユニットの累重体であり,個々のユニットは低海水準期の浅海相であるサンゴ石灰岩から高海水準期の沖合相である石灰藻球・Cycloclypeus-Operculina・砕屑性石灰岩へと上方深海化する整合一連のシーケンスよりなる.本層の分布高度は125mに及び,層厚は30mに達する.港川層は主に淘汰のよい砕屑性石灰岩より構成され,サンゴ石灰岩を伴う浅礁湖の堆積物である.港川層は伊計島と津堅島に広く分布し,その層厚は約30mであるが,分布標高は40mを超えない.現時点では両層の地質年代は不明である.