著者
大澤 正明 島岡 隆行 中山 裕文
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.291-302, 2009 (Released:2009-11-25)
参考文献数
22

わが国における廃棄物対策は公衆衛生の向上を目的とすることから始まったが,衛生状態が高いレベルで安定化している今日においては,公衆衛生対策としての貢献を評価されることは少なく,また,現在まで廃棄物対策が公衆衛生の向上のために何をどのようにして行い,その効果がいつ頃から現れてきたのかということに関して十分に検証されてこなかった。本研究では,廃棄物対策とりわけごみ処理に着目し,衛生状態の向上との関連性について検討した。その結果,ごみ処理は,上水道整備や下水道整備と並び,公衆衛生の向上に大きな貢献を果たしてきたことが明らかになった。特に,清掃法施行下の取り組みが大きな効果を発揮し,昭和50 (1975) 年前後におけるごみ焼却施設の基本的な整備の完了をもって,衛生対策としてのごみ処理の役割を達成していたことがわかった。