著者
大瀧 英樹
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.75-89, 2019 (Released:2019-09-30)
参考文献数
12
被引用文献数
3

わが国では、労働者のメンタルヘルスに対して関心が高まっている。「仕事や職業生活に関して強い不安、悩み、ストレスがある」とする労働者は55.7%に達しており、労働者全体で換算すると、約3,551万人もの労働者が強い不安、悩み、ストレスを抱えていることになる。その多くの労働者が仕事の質や量によってストレスを抱えている。 本稿では、JLPS(東大社研パネル調査データ)を用いて、正規労働者のメンタルヘルスを改善するため、労働時間によるストレスを緩衝する職場環境について分析をおこなった。その結果、男性では、仕事のペースを自分で決める職場が、労働時間によるメンタルヘルス不調の緩衝効果があり、女性では、後輩が先輩に相談する雰囲気のある職場が、メンタルヘルス不調の緩衝効果がみられた。さらに、助け合いや協力などのある職場では、労働時間が長くなると、メンタルヘルス悪化の要因に変化すことが示唆された。