著者
大町 基 岩田 和彦 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.355, pp.159-163, 2009-12-14
参考文献数
7

合成音声に,相手との距離に応じた距離感を与えることを試みる.人が,例えば,離れたところにいる相手に話しかけようとして大きな声を出す際には,通常よりも強く息を吐くなどの発声の仕方の変化を伴うと考えられる.このことは音量が大きくなる以外に,声質の変化をももたらすと予想される.そこでまず,人が,相手との距離を意識して発声した音声にどのような特徴が現れるかを調べた.話しかける相手との距離をいくつか設定し,声優がそれぞれの距離感を表現して発声した音声を収録した.これらの音声を分析した結果,距離感が遠くなるにしたがって(1)第1フォルマント周波数の高域へのシフト,(2)スペクトル傾斜の緩和が特徴として見られることがわかった.さらに,これらの特徴の変化を踏まえ,音声の距離感を変換する方法を検討した.