著者
大白 幸夫
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, 1983-12-15

下水道整備の主たる目的は, 生活環境から速やかに雨水・汚水を排除すること, すなわち生活環境の質の向上にあった。しかし各種公害関連法の成立および下水道法の改正により, 下水道は総合的水質保全対策の支柱として, また水質汚濁防止対策上唯一の公共事業として, その位置付けが飛躍的に拡大されることとなった。本文では, まず公共事業としての下水道の普及率, 公害関連法による役割の変化, 地域住民の苦情により遮断緑地, 場内緑化, 覆蓋化等によって処理場の視覚的, 質的イメージの向上を図っている下水道整備の現況を述べている。その中で覆蓋に関して処理施設を現地盤より低い位置に築造した半地下式完全地下式処理場において環境対策や土地の有効利用に関しての実例を挙げて述べている。最後に地下式処理現場の問題点として建設費の増加や, 採光, 湿度・臭気に加えて空気汚染による労働環境の悪化, 温度上昇による機器の耐用年数の短縮, 維持管理費の増嵩などを述べている。