著者
大石 海
出版者
言語文化教育研究学会:ALCE
雑誌
言語文化教育研究 (ISSN:21889600)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.74-94, 2021-12-24 (Released:2022-02-14)
参考文献数
25

本研究は,「制度としての母語話者志向」が表出している小学校英語教育において,音声指導のポリティクスという現実を教師がどのように生き,そのポリティクスにどう対応したりそれをずらしたりしているのかを明らかにするため,2名の小学校教師にインタビューを行い,音声指導に関する語りを質的に分析・検討するものである。分析方法としてダレン・ラングドリッジ(Darren Langdridge)の批判的ナラティブ分析(Critical Narrative Analysis: CNA)を採用した。分析の結果,自身の英語力に不安を抱えながらも英語の授業を肯定的に受け止めている2名の教師は,「制度としての母語話者志向」に追従的な立場とそれに懐疑的な立場に立っていることが分かった。児童に英語を聞かせる場面では差異(「ネイティブの英語を聞かせるべき」「ネイティブ以外の音声も聞かせるべき」)が見られた一方で,児童に英語を話させることについては共通した実践(「児童の話す英語には流暢さを求めない」)が見出された。