著者
永冨 昭 大石 良一 田中 章
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.106-110, 1967-06-20

日本産のOxya属として本州, 四国, 九州にコバネイナゴO. yezoensis Shiraki (=O. japonica Willemse)とハネナガイナゴO. velox Fabriciusがいるが, これらの生態に関するまとまつた論文は熊代(1935)と勝又・西川(1935)の2つに過ぎないようである.もつとも勝又・西川は単にイナゴとして記したので, その対象がコバネかハネナガか判然しないが, おそらくハネナガを取り扱つたものであろう.熊代はコバネイナゴの産卵前期間について次のように記している.「産卵前期間の相当長いことは, 羽化当初の雌虫の卵巣の小形幼稚な点から想像される.実験は未だ行なつていないが昭和6年の8月23日羽化雌虫に雄を配し飼育した所, 9月21日産卵を始めた.即ち産卵前期間は30日を要したことを観察した」.著者らは本種の産卵前期間を日長, 温度との関連のもとに調査中であるが, 初年度に得た事実を予報の意味で記して参考に供したい.