著者
大竹 亘 岩橋 政宏
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.54, pp.9-12, 2009-12-03
被引用文献数
3

リフティング構成された2点回転変換は、信号値や乗算係数値の有限語長化にも拘わらず、信号の可逆再生が保証されており、ロスレス符号化として広く応用されている。回転変換の係数値は、回転角度により一意に決定されるが、リフティング構成された場合、係数値が分母を持つ。このため、回転角度によっては分母が零となる。このような特異点の付近では、有限語長化による丸め誤差が、変換の内部で大幅に増幅される問題がある。以前我々は、RGB3色に対する主成分分析(あるいはKLT)を例として、信号の入力順と出力順を置換することで、3点回転変換における特異点問題が回避され、丸め誤差を低減できる方法を提案した。本報告では更に、2点回転変換に対する信号置換ならびに符号置換を導入することで、より一層の誤差低減が可能となることを示す。4種類の標準画像に対する実験の結果、誤差の分散が従来法に比べ平均26.6[%]程度低減できることが確認された。