著者
大竹 桂司 山田 祐司
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.11, pp.1290-1299, 2014

近年,包括安全指針・労安法・安衛則等の改正によりにユーザーとメーカーの安全意識は高まってきている。しかしながら,規格法令が複雑化したことと安全機器が技術の進歩により多種多様化されたことから,求める内容を正しく理解して「何が本当に危険なのか」「何が最適な保護方策なのか」を見極め,「安全性・経済性を考慮」したうえで適切な安全防護を行っているケースは少ない。特に,紙パ市場の設備においては,ローラ部を稼動させながら作業者が接近しなければならない。また不用意に停止を行うことは再稼働に要する手間から避けたいと言う思いが強く,機械設計者や現場の安全担当者は常にどこまで対策すれば許されるのかのジレンマと戦っている。<BR>究極の安全とは,人と機械が同じ空間に存在しないことである。そのためには,全ての工程において完全自動化の機械とするか,人型ロボットが全ての作業を行なってくれるかのどちらかであるが,その時代はまだ遠い先である。従って,今は今の時代の最善の技術をもって空間または時間による区分けで,可能な限り,人と機械が交わる機会を正しく減らすことが求められる。<BR>本稿では,機械安全の根幹となる『隔離と停止』『安全確認型システム』の考え方を,いくつかの事例を交えて機械アプリに合わせた安全機器の展開方法を説明していく。