著者
大竹 秀和
出版者
立教大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

【研究の目的】正課外教育(①正課外教育プログラム、②クラブ・サークル支援、③ボランティア活動支援、④インターンシップ、⑤地域を意識した取組)は、各大学で積極的に実施されており、①の正課外教育プログラムについては、職員の運営への関わりや参画度合いが高いことが、先行研究より明らかになっている。しかし、②クラブ・サークル支援~⑤地域を意識した取組に関する先行研究は限られており、正課外教育において職員が担っている役割は明らかとなっていない。学士課程教育において正課教育と同様に重要な役割を担う正課外教育の各取組で、職員の役割を明らかにすることは、学士課程教育の質向上、教職協働の促進、正課外教育に関わる職員に求められる能力を検討し、能力開発を進めていく上で必要である。そこで本研究では、各大学で実施されている正課外教育において、職員が担っている役割を明らかにすることを目的として研究を実施した。【研究の方法】全国の国公私立大学775校の正課外教育を担う部署(学生支援担当部署等)を対象に、質問紙によるアンケート調査を行うとともに、特徴的な2大学に対してヒアリング調査を実施した。【研究成果】本調査の有効回答数は319校であり、回答率は41.2%であった。調査の結果、正課外教育を実施していると回答した303大学において、特に④インターンシップについては、職員が中心的な役割を担うと回答した大学が41.6%、教員と職員が協働し同程度の役割を担うと回答した大学が32.2%と高い割合を示した。その他の正課外教育の取組においても、職員が中心的な役割もしくは教員と同程度の役割を担うと回答した大学が60%を超え、正課外教育における職員の役割の重要度が高いことが明らかとなった。ヒアリング調査においては、職員がどの範囲まで正課外教育に関わるか、正課外教育を学士課程教育の中でどのように位置づけるか、危機管理体制の構築などについて課題を抱えていることが挙げられた。