著者
大脇 和志
出版者
日本特別活動学会
雑誌
日本特別活動学会紀要 (ISSN:13437151)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.33-42, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
32

学習者に「開かれた教室風土(OCC:open classroom climate)」を保障することが市民性教育にとって重要であることを、日本の小学 4〜 6年生への質問紙調査の分析から明らかにした。国際比較調査で用いられる OCC尺度項目は、日本の小学生の場合「計画的 OCC」と「偶発的 OCC」と解釈し得る2因子構造となった。そして、特別活動の経験は上記 2因子および市民性(効力感や参加意欲)に影響を及ぼすが、OCCから市民性への影響は偶発的 OCCからのみ観察され、計画的 OCCは市民性に影響していなかった。結論として、教室での話合い活動において〈反対意見の表明〉と〈社会問題への言及〉を保障することが市民性教育における特別活動の役割として重要であることを論じた。