著者
鈴木 仁美 大西 一雅
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.7, pp.1117-1120, 1981
被引用文献数
1

ジクロロメタン中でビス(ペンタメチルベンジル)セレニドに硝酸(d=1.5)を作用させると,還元的な開裂が起こり,単体セレンを分離してペンタメチルベンジルニトラートがほぼ定量的に生成する。ビス(p-クロロおよびp-ニトロベンジル)セレニドの同様な反応では,炭素-セレン結合の開裂はみられず,セレン原子が酸化されて,対応するセレノキシドが得られるが,芳香環のニトロ化はみられない。ジベンジルセレニドと硝酸の反応では,セレノキシドの硝酸塩が水溶性の白色結晶として得られる。一連のビス(置換ベンジル)セレニドについて,その反応形式におよぼす置換基の顕著な効果を検討し,それぞれの反応過程について考察した。