著者
大西 正健 呉 性姫 田村 竜多
出版者
日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学 (ISSN:13403494)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.419-424, 1994

Xylose isomerase〔EC5.3.1.5〕はナガセ生化学工業より恵与を受けて精製した.サブユニット構造の組み替えと触媒活性および基質取り込み能との関係に興味を持って実験を計画した. 酵素の触媒活性(比活性)が共存するNaCl濃度に依存して変化することが見いだされた.この現象を実験の結果に矛盾なく説明できる明確な解釈は未だ得られていない.検討を重ねたが,可能性の高い考え方の一つとして,サブユニット構造の組み替えに依るものと推定し,本稿では暫定的に4量体/2量体と呼ぶことにした.両者ともに異性化触媒活性を有しており,比活性(mg蛋白質量当り)は2量体の方が大きい値(M濃度ではほぼ同程度)であった.Trp残基の蛍光変化を指標として,基質ザイロースの取り込み反応を観測した結果,基質-酵素複合体の解離定数は両者ほぼ同じであった.取り込みに協同性は検知されず,結合部位の構造は両者同等とみなされた.活性に必須なMg2+(既知の事実)は基質の結合過程に関わっていると考えられた.