著者
山田 恭正 大見 のり子 山根 美保 中谷 延二
出版者
Japanese Society of Food Chemistry
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.59-63, 2012-04-23 (Released:2017-01-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1

沖縄県で栽培されている主な有色甘藷は「備瀬」(ビセ)であるが、育種により「沖夢紫」(オキユメムラサキ)が作出され2007年に品種登録された。備瀬と沖夢紫に含まれるアントシアニンをHPLCで比較し、沖夢紫に特徴的な2種のアントシアニンを単離精製した。LCMS、NMR等で化学構造を解析した結果、非アシル化アントシアニンのcyanidin 3-sophoroside-5-glucoside、モノアシル化アントシアニンのpeonidin 3-(6-caffeoyl-sophoroside)-5-glucosideを同定した。非アシル化、モノアシル化アントシアニンは有色甘藷を摂取後、小腸で直接吸収されるので、これらのアントシアニンが沖夢紫から単離、同定されたことは生理学的な活性を評価する上で興味深い。
著者
平良 淳誠 大嶺 和可奈 大見 のり子 平良 和代 永田 純一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.295-300, 2012-06-15 (Released:2012-08-04)
参考文献数
22
被引用文献数
1

沖縄在来系統由来9品種と比較品種系統2品種のカンショ茎葉について,LPS刺激したRAW264.7細胞より誘導される一酸化窒素ラジカル(NO)産生に対する抑制作用を評価した.全品種のカンショ茎葉抽出物にNO産生抑制作用が認められ,同様の葉野菜であるホウレンソウやエンサイよりも比較的高活性であった.NO発生剤NOR3を用いて,カンショ茎葉抽出物のNO消去活性を検討したところ,その主要ポリフェノールであるカフェオイルキナ酸誘導体の総含量と正相関したことから,NO産生抑制メカニズムとしてNO消去作用が寄与している可能性が示唆された.本研究からカンショ茎葉は,過剰なNO産生に伴う様々な炎症性疾患の予防機能性食品として有用食素材になることが示された.