著者
大谷 昂 金本 雅行 尾崎 公美 谷内田 拓也 松田 祐貴 木戸屋 栄次
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
pp.2023-1380, (Released:2023-06-19)
参考文献数
23

【目的】肝臓のmagnetic resonance imaging(MRI)検査において,全肝の呼吸同期併用拡散強調画像(respiratory-triggered-diffusion-weighted imaging: R-DWI)は磁場不均一の影響により肝臓頭側の横隔膜ドーム下の画質低下が問題となる.そこでドーム下に範囲を絞った呼吸停止下DWI(breath-hold-DWI: B-DWI)の追加撮像の有用性を検討した.【方法】3.0 TのMR装置を使用し,2022年7月から8月に当院でethoxybenzyl(EOB)-MRI検査を受けた22例(男性14名,女性8名,平均年齢69.0±11.7歳)を対象とした.R-DWIとB-DWIのドーム下の視認性について放射線科医1名と放射線技師3名で4段階(1~4点)での視覚評価を行った.また,各DWIのapparent diffusion coefficient(ADC)値を比較した.【結果】R-DWIと比較してB-DWIではドーム下の視認性が向上した(2.67±0.71 vs. 3.25±0.43, p<0.05).各DWIのADC値に有意差はみられなかった(p>0.05).【結語】B-DWIはドーム下の視認性に優れ,R-DWIを補完する役割が期待できるため,EOB-MRI検査において追加撮像する有用性は高い.