- 著者
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大野 亮仁
藤 博幸
山名 早人
- 雑誌
- 研究報告バイオ情報学(BIO)
- 巻号頁・発行日
- vol.2013-BIO-34, no.11, pp.1-7, 2013-06-20
G タンパク共役受容体 (G-protein-coupled receptor,以下 GPCR) は,内在性リガンドと結合することで細胞外からの様々なシグナルを細胞内に伝達しており,新薬開発の重要なターゲットとして注目されている.しかし,GPCR と化合物の組合せは膨大であるため,計算機による正確な結合予測手法が求められている.先行研究として,GPCR を構成するアミノ酸配列全長が持つ化学的性質と化合物の化学的性質を用いて結合を予測する手法がある.しかし,GPCR には立体構造が既知のものがあり,その細胞外側の領域にリガンド結合部位が決まっている.よって,リガンド結合部位のアミノ酸が結合に強く影響を与えると考えたため,リガンド結合部位のアミノ酸に注目すべきと考えた.本研究では,全長配列を使用する代わりに,リガンド結合部位のアミノ酸のみを利用することで予測の改善を試みた.特徴量として結合部分のアミノ酸と化合物の化学記述子を用い,SVM により GPCR と化合物の結合を予測したところ,アミノ酸配列全長を用いた時に比べ Accuracy が 3.6%,F 値は 0.038,AUC は 0.002 向上した.