著者
大隅 匡
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2017-03-24

【目的】 大地震発生後の災害支援物資の輸送場面において、円滑でかつ偏りが少ない配分をアマチュア無線によって実現できるか、シナリオの作成やシミュレーションを通して検証する。また、上記のシナリオやシミュレーションを、本学所在地の東京都調布市に当てはめることで、実現に向けた課題を見出す。【検証方法】 プッシュ型、プル型、今回提案する方法(以下、提案方法)で、簡易シミュレーションを作成する。輸送終了後の物資の在庫数や所要時間を比較して、提案方法が有効であることを示す。 提案方法では、無線機を避難所や、物資を保管する集積所などに配置することで、通信網を構築して円滑な情報共有を可能とする。【結果】 提案方法が、偏りが少なく適切な物資配分が実現できること、所要時間短縮が可能であることから、有効であることが示された。【調布市における想定】 本論文で提案したシナリオやシミュレーションを調布市に当てはめる場合、5つのエリアに分けて災害支援物資を輸送する方法を提案する。また、本学が調布市に貢献できる可能性にも言及する。【課題】 提案方法において、極端に避難者が多い避難所が存在する場合、災害支援物資を十分に輸送できず不足が発生することが分かった。広範囲で連絡できるように体制を見直すなど、検討する必要がある。