著者
石川 浩次 溝口 昭二 大鹿 明文
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
no.51, pp.52-66, 1998-03-24
参考文献数
7
被引用文献数
1

1995年兵庫県南部地震は六甲山南麓の平野市街地の建築物に多大の被害をもたらした。筆者らは, 地震発生直後から建築物の被害調査を行い, 道路に囲まれた区域を調査単位として建物の倒壊率を求め, 気象庁震度階(JMA)を用いてその結果を震度(被害度)分布として表示した。この内, 木造家屋倒壊率50%以上で且つ鉄筋コンクリート建物の倒壊が多い区域を超震度7として表示した。その結果, 震度6以上の被害は, 幅1.5〜2.0 kmで, 神戸市から西宮市に到る長さ25 kmにわたって帯状(いわゆる"震災の帯"と称された)に分布し, 震度7以上の被害は, 神戸市長田区の後背低地, 中央区の三宮駅付近の旧生田川流域周辺及び東灘区〜灘区の住吉川, 石屋川流域の緩扇状地分布域に島状に分布することが分った。一方, 山側の丘陵地, 段丘や海岸平野の沖積低地では震度5で被害は小さかった。また, この"震災の帯"の中で, 大阪層群が分布する丘陵地に近いJR元町駅付近や, 現生田川流域付近の扇状地では被害は小さい傾向にあった。