著者
天野 真輝
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究ではマルチホップ・メッシュネットワークの具体的な事例として,ノードに音響センサを搭載したセンサーネットワークを取り上げ,アプリケーションをベースとして通信や情報処理の手法を解析および提案した.平成19年度の主要な研究成果としては1.平成18年度に開発したセンサーノード間の無線通信プログラムライブリを作成することで,拠点ノードへ情報を集中転送させるスター型の通信構造を可能とした.この通信プログラムを用いることで,センサーノードを空間的に複数配置して広範囲の音声情報計測を可能とした.2.単一のセンサーノードによって計測された足音情報に対して,3つの特徴量を提案し歩行者数の推定との関係を解析した.提案した特徴量はそれぞれ・計測時間内パルス数:計測時間8[s]内において,一定のしきい値を超えた信号の総数・1パルス信号の強度平均:時間0.125[s]内に含まれる一定のしきい値を超えた信号列を1パルスとして考え,1パルスに含まれる信号強度の平均を取ったもの・全信号平均強度:一定のしきい値を超えた信号に関する平均強度を考えた.計測時間内パルス数および1パルス信号の強度平均は歩行人数に対して比例関係があり,全信号平均強度は無相関であった.このため前者2つの特徴力が歩行者数の推定の指標となる.結果として単一のセンサーノードで得られる局所的な足音情報によって歩行者数の推定が可能となった.さらに局所的な処理手法の提案によって通信負荷を増加させることないシステムの構築ができた.