著者
太田 和司 内山 茂久 稲葉 洋平 中込 秀樹 欅田 尚樹
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.791-797, 2011 (Released:2011-11-28)
参考文献数
11
被引用文献数
24 49

電子タバコから発生する煙の成分をハイドロキノン(HQ)と2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いた二連カートリッジ法(HQ-DNPH法)で分析し,発生する化学物質,生成メカニズム等の検討を行った.市販されている電子タバコの煙を分析した結果,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,アクロレイン,グリオキサール,メチルグリオキサール等,多くの有害なカルボニル化合物が高濃度で検出された.電子タバコ専用カートリッジに含まれる液体を分析した結果,主成分はグリセロールやグリコール類であった.そこで,様々なグリコール類をコイル状のニクロム線に塗布した模擬電子タバコを作製し,一定の電圧を印加し,そこから発生する気体を分析した.その結果,3 V以上の電圧を印加すると,エチレングリコールからグリオキサールが,プロピレングリコールからメチルグリオキサールが,グリセロールからアクロレインが発生することが明らかになった.