著者
太郎良 信
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
no.40, pp.31-41, 2006

全国連合小学校教員会の機関誌『教育報国』は1935(昭和10)年11月に創刊された.その創刊企画は,1935年5月の第12回総会で協議されたものの決定には至らず,その決定は代表委員会に委ねられ,同年6月の第17回代表委員会において決定されたものであった.その間の経緯をみると,第12回総会では当初から予定された議題ではなく追加議題として提案されたものであること,第17回代表委員会では発行が既定のこととして提案されていることなど,組織的な協議が簡略化されたままに事態が進行していることがわかる.『教育報国』創刊の推進者は,全国連合小学校教員会の役員ではないままに上沼久之丞会長の下で庶務を担当していた中澤留であった.そして『教育報国』の編集部は,主幹が役員ではないままの中澤,委員は全国連合小学校教員会の理事3 名という変則的な構成であった.『教育報国』創刊から半年後の1936年5月には,中澤が全国連合小学校教員会の会長に就任するということとなる.中澤は,会長就任後も引き続き『教育報国』の主幹の座にあった.「教育報国」は,機関誌名であるとともに,戦時下における全国連合小学校教員会の活動の旗印となっていくこととなった.
著者
太郎良 信
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.59-70, 2000

千葉春雄主宰『綴り方倶楽部』(1933年4月創刊,東宛書房)は小学校の児童と教師を読者対象とする月刊雑誌であり,1930年代から40年代初頭にかけた時期の生活綴方運動において,児童にとっては綴方や児童詩の学習教材として,教師にとっては綴方教育実践の交流の場として重要な役割を担ったものである.だが,これまで終刊時期すら不明のままにされてきたことにみられるように,その全貌は明らかにされてはいない.本稿は『綴り方倶楽部』に関する先行研究の到達点と問題点の検討を通して全貌解明の必要性を明らかにするとともに,『綴り方倶楽部』についての現段階での調査を踏まえて同誌の発行状況を概観したものである.本稿において,『綴り方倶楽部』は1933年4月号以降,1937年7月から1938年1月までの7ヶ月の休刊期間をはさんで,1942年4月号まで少なくとも通算99号が発行されたことを明らかにした.また,改題後継誌『学芸少国民』と再改題後継誌『少国民文学』の発行状況に関しても言及した.
著者
太郎良 信
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要 (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.97-110, 2002-12