著者
奈尾 雅浩
出版者
愛媛県農業試験場
雑誌
愛媛県農業試験場研究報告 (ISSN:03887782)
巻号頁・発行日
no.39, pp.50-59, 2005-12
被引用文献数
1

愛媛県におけるイチゴ炭疽病の発生は2001年以降、増加傾向にある。このため、2003年に愛媛県内のイチゴ産地よりイチゴ炭疽病菌を150菌株採集し、寒天希釈法によりベノミル(ベンレート水和剤)、ジエトフェンカルブ(ゲッター水和剤の一成分)、ビテルタノール(バイコラール水和剤)における薬剤感受性を明らかにした。常用濃度を超えるMIC値(ppm)を示した菌株数はベノミル(1000ppm)が131菌株、ジエトフェンカルブ(125ppm)が20菌株、ビテルタノール(100ppm)が146菌株であった。また、採集菌株の中から30菌株を供試して薬剤の治療効果、予防効果を把握した。供試薬剤はアントラコール顆粒水和剤、デランフロアブル、ベルクート水和剤、バイコラール水和剤、ゲッター水和剤、アミスター20フロアブル、キノンドーフロアブル、ベンレート水和剤とした。その結果、ゲッター水和剤に治療効果が、アントラコール顆粒水和剤、アミスター20フロアブル、キノンドーフロアブル等に予防効果が認められた。1991年に県内で採集したイチゴ炭疽病菌(AN-30株)によるイチゴヘの接種試験においてベンレート水和剤が高い防除効果を示したことに比べ、2003年採集菌による接種試験では、ベンレート水和剤の防除効果は明らかに劣っていた。