著者
奈良 美夫 柴田 治雄 森岡 俊夫
出版者
Japanese Association for Oral Biology
雑誌
歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.443-448, 1978 (Released:2010-10-28)
参考文献数
19

蔗糖56%含有のdiet #2000で長期間飼育されたハムスター (実験群) は, 普通飼料で飼育されたハムスター (対照群) と比較して, 全身の発育や糖代謝にどのように影響があるかを血液, 尿, 唾液などの検査によって検索した。一般発育は実験群が劣り, 血球成分では白血球が実験群に少ないことを除き両群間に差異はなかった。血液生化学検査では実験群に血中Ca++, およびグルコース値が高く, 尿酸が低かった他は有意差が認められなかった。血液ガス測定結果は両群に有意差はなく, 実験群に酸血症の傾向がみられた。空腹時血糖は両群に差はなく, 飼料摂取時血糖は実験群が有意に高かった。なお唾液および尿中の糖量は両群共極めて低く差異は認められなかった。糖負荷試験では60分値が実験群に有意に高く, 120分値も同群に高かった。このことは実験群において明らかに糖代謝異常があることを示唆するものである。