著者
奥壽郎 網本 和 渡辺 敏 牧田 光代 岡本 慎哉
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.125-130, 1991
被引用文献数
11

パーキンソニズムの平衡機能評価として, 立位重心動揺検査を用い静的立位重心動揺に加え, 連続的かつ随意的最大に身体を振幅させる動的立位重心動揺(側方・前後)測定も行い, 健常者と比較検討した。また動的立位重心動揺測定は, 後方及び側方よりVTR撮影し身体関節運動を併せて分析した。対象はパーキンソニズム患者10例, 健常者10例であった。パーキンソニズムの特徴的な結果として, (1)静的重心動揺では, 重心位置が後方に位置していた (p<0.05)が, 他の因子には差はなかった。(2)動的重心動揺では側方・前後共に, 重心移動能力と身体偏位角の低下が認められた (p<0.01)。以上の結果よりパーキンソニズムの平衡機能評価は静的立位重心動揺のみならず, 動的立位重心動揺測定を実施することで,より具体的に把握できるものと考えられた。