著者
渡辺 敏樹 気賀沢 一輝 宮崎 泰 平形 明人
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.385-391, 2016-12-25 (Released:2017-01-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1

眼以外の神経症状が見られない視神経萎縮で発見された神経梅毒の一例を報告する.症例は59歳男性,数年前より両眼の進行性視力低下,視神経萎縮を認めるも,数か所の病院にて原因が判明せず当院へ紹介となった.視力右(手動弁),左(0.1),視野は,右は下耳側周辺のみ残存,左は中心および下方に暗点を呈し,両眼視神経乳頭の萎縮がみられた.対光反射近見反応解離を認めたが,縮瞳傾向はなかった.画像検査では視神経萎縮を呈したが,圧迫などの異常所見はなかった.血液および髄液の梅毒抗体の高値,髄液細胞数の上昇を認め,HIV抗体は陰性だった.神経梅毒と診断,ペニシリン大量点滴治療を2週間施行した.治療後,髄液細胞数の低下,血液と髄液の梅毒抗体の低下を認めたが,視力,視野に著変はなかった.経過中に脊髄癆などの神経学的異常はなかった.神経梅毒による視神経萎縮は,日常診療にて遭遇する事は稀だが,視機能予後は不良である.視神経萎縮の原因として梅毒を念頭に置く必要がある.
著者
渡辺 敏郎
出版者
日本醸造協会
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.282-291, 2012 (Released:2013-10-08)
著者
金子 直矢 伊東 孝紘 勝田 肇 渡辺 敏暢 岡田 和也 阿部 博 大西 亮吉
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2022-IOT-56, no.3, pp.1-8, 2022-02-28

自動車の遠隔運転では,従来運転者が車内で知覚していた車の視覚・聴覚情報を遠隔地にいる運転オペレータに対して安定的に伝送しなければならない.本研究は,移動体通信回線を備えた自動車から遠隔地のオペレータ端末への映像伝送に WebRTC を用いる環境を想定し,通信品質向上への MP-QUIC プロトコルの適用可能性検証を行う.WebRTC は,インターネットにおいて端末・サーバ間で P2P 通信路を確立し通信を行うため,遠隔運転に必要な低遅延な通信を実現できる可能性がある.しかし,移動する自動車からの通信は不安定になることもあり,遠隔運転の安全性を高めるためにより安定した通信方式を確立しなければならない.そこで,本研究では複数の異なる通信回線を利用して通信を行うマルチパス通信プロトコルの一つである MP-QUIC を採用することにより,WebRTC 通信の可用性および品質の向上を試みる.MP-QUIC は,ユーザランドで動作し低遅延なトランスポートプロトコルである QUIC を対象にマルチパス通信技術を導入しており,遠隔運転に必要な通信品質を安定的に提供できる可能性がある.評価では,WebRTC を用いた映像伝送システムに対して MP-QUIC の組み込み,市街地を走行する自動車から複数の移動体通信回線を用いた映像メディアの伝送を実施し,遅延および映像品質の計測を行う.
著者
渡辺 敏雄 庄司正成 鳥山 剛 古保 静男 加藤 忠
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.116(2003-IS-086), pp.1-8, 2003-11-19

花粉センサと花粉予報を用いた花粉情報システムを開発し、インターネットにおいて高精細花粉情報配信の実験サービスを実施した。開発したシステムは最新の花粉の飛散状況や、時間毎に最大48時間先までの飛散予報を提供する。本講演では2003年春の実験サービスの内容を紹介し、サービスログ解析やアンケート結果を基に、ユーザの利用動向や花粉情報に対する意識を考察する。
著者
吉沢 和也 武市 尚也 笠原 酉介 渡邉 紗都 根本 慎司 赤尾 圭吾 渡辺 敏 足利 光平 木田 圭亮 明石 嘉浩
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN (ISSN:24344966)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.2-9, 2022 (Released:2022-08-25)
参考文献数
18

要旨:【目的】入院期心不全患者における入院中の食事摂取量と退院時下肢筋力の関連を明らかにすること.【対象および方法】対象は急性心不全で入院後,心臓リハビリテーションを実施した92例である.食事摂取量は全入院期間中の平均食事摂取量(kcal/日)および,食事摂取量を食事提供量(kcal/日)で除した平均食事摂取率(%)を算出した.下肢筋力は退院時に左右の膝伸展筋力を測定し,平均値を求め体重比を算出した.【結果】下肢筋力は食事摂取率(r=0.47)および食事摂取量(r=0.56)と正の相関を認め(各々p<0.05),重回帰分析の結果,退院時下肢筋力に有意に関連する因子として食事摂取量が抽出された(R=0.703,調整済みR2=0.476,p<0.05).【結論】入院期心不全患者における入院中の食事摂取量は,退院時下肢筋力と関連している.食事摂取量が少ない患者に対しては,改善に向けて多職種による包括的アプローチが早期から必要であると考えられた.
著者
渡辺敏 著
出版者
普及舎
巻号頁・発行日
1892
著者
渡辺 敏郎
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.5, pp.282-291, 2012 (Released:2017-12-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1 8

平成22年11月にNHKの「ためしてガッテン」が,酒粕の効能と調理方法について取り上げ放送したところ,消費者から大きな反響があり,酒粕の在庫切れなどを招いたことは記憶に新しい。レジスタントプロテインは番組で取り上げられた食物繊維様の活性を持つ物質である。レジスタントプロテインは米貯蔵タンパク質のプロラミンに由来するタンパク質で,醪中で溶解せず,胃酸でも分解されることなく小腸に達し,種々の生理機能を発揮する。発酵食品である酒粕は栄養学的に優れているのみならず,多くの機能性が報告されているが,ここでは,レジスタントプロテインを中心にその機能性を紹介していただいた。まだまだ遅れている酒粕の有用性研究の発展と酒粕の復権につながれば幸いである。
著者
武市 尚也 石阪 姿子 西山 昌秀 堅田 紘頌 山川 留実子 平木 幸冶 井澤 和大 渡辺 敏 松永 優子 松下 和彦
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第28回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.18, 2009 (Released:2009-08-11)

【目的】 昨今,筋力評価法の一つとして,簡便な筋力評価機器であるHand Held Dynamometer (HHD)を用いた方法が活用されている。また,一般的に筋力増強運動の負荷設定の方法としては,1 Repetition Maximum(1RM)が用いられる。しかし,入院患者を対象とし,HHDで測定した値をもとに1RMの予測の可否について詳細に検討されている報告は少ない。本研究の目的は,膝伸展筋に限定し,1RM法の再現性およびHHD値からの1RMの予測の可否について明らかにすることである。 【方法】 対象は,当院リハビリテーション科において理学療法施行中の入院患者134例268脚(男性71例,女性63例)である。このうち,1RMの再現性は,20例40脚(男性10例,女性10例)を対象とした。1RMの測定肢位は,体幹を60度後傾した端座位とした。検者は,測定側の大腿遠位部を固定後,重錘を対象者の下腿遠位部に負荷し,下腿下垂位から膝関節を完全伸展するように指示した。そして最終挙上位で3秒保持可能な最大重錘量(kg)を1RMとした。なお1RMは,3日以内に同方法で2度の測定を行った。 HHDは,アニマ社製μ-tasF1を用い,測定肢位は,端座位,膝関節屈曲90度とした。検者は,圧力センサーを対象者の下腿遠位部に固定し,下腿下垂位から膝関節を伸展するよう指示した。HHDの測定は,左右3回施行し,その等尺性膝伸展筋力値(kgf)をHHD値とした。なお患者背景は,基礎疾患,年齢,身長,体重を診療記録より調査した。解析には,級内相関係数(ICC)および1RM法による膝伸展筋力値を従属変数,HHD値を独立変数とする単回帰分析を用いた。統計学的有意差判定の基準は5%とした。 【結果】 1.基礎疾患および各指標の平均値 疾患の内訳は呼吸器47例,循環器38例,代謝23例,消化器18例,その他8例であった。各指標の平均値は,年齢:70.0±13.5歳,身長:157.3±9.5cm,体重:51.6±11.1kg,1RM:4.6±2.2kg,HHD値:22.5±10.0kgfであった。 2.1RMの再現性 1RMは1回目:4.2±2.1kg,2回目:4.4±2.2kg,ICCは0.93であった(p=0.01)。 3. HHD値と1RMとの関連 解析の結果,1RM=HHD値×0.183+0.474 (R=0.82,R2=0.67,p=0.02)の予測式が得られた。 【考察】 1RMの再現性は,ICCが0.93と良好であった。また,HHD値から1RMが予測できることが明らかとなった。以上より,HHDによる筋力評価で得られた値から,膝伸展筋力増強時の負荷設定が可能と考えられた。
著者
金子 直矢 伊東 孝紘 渡辺 敏暢 阿部 博 大西 亮吉
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, no.1, pp.1059-1067, 2021-06-23

本研究では,WebRTC を用いたアプリケーションにおいてマルチメディア伝送の可用性と柔軟性を向上するためにマルチパス技術を導入し,メディアストリームごとのポリシに基づき通信パスの利用形態を制御する手法を提案する.WebRTC を用いたアプリケーションとして車両やロボットの遠隔操作システ ムといった事例が存在する.遠隔操作システムは,操作に必要な環境情報を伝えるために複数のカメラや マイクを併用しており,操作者のニーズに応じて必要なメディアストリームを安定的に伝送する通信基盤 が重要である.そこで WebRTC を用いる遠隔車両運転システムをターゲットとして,以下の 3 手法を導入し組み合わせることを提案する.(1) IP ToS 値を用いたメディアストリームの識別による Web ブラウザとネットワーク制御の連携 (2) マルチパス通信技術の導入による通信の選択肢多様化 (3) 優先度・重要度 に基づくメディアストリームごとのパス利用形態制御.これらの手法を,遠隔車両運転システムが用いるモバイル通信サービスを利用して検証し,実現性と通信制御の柔軟性の向上に寄与することを示した.
著者
長岡 智明 櫻井 清子 国枝 悦夫 渡辺 聡一 本間 寛之 鈴木 保 河川 光正 酒本 勝之 小川 幸次 此川 公紀 久保田 勝巳 金 鳳洙 多氣 昌生 山中 幸雄 渡辺 敏
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.239-246, 2002 (Released:2011-10-14)
参考文献数
16
被引用文献数
11

We have developed high-resolution voxel models of the whole body from MR images of Japanese adult male and female volunteers. These models can be used for dosimetry simulation of exposure to radiofrequency electromagnetic fields over 1GHz. The MR images were taken by making a series of scans over several days; that is, a subject was scanned in several blocks. Scan parameters were optimized for head and body, respectively, in order to get practical contrast and to save data acquisition time. An implement was used to keep the position and form of the subject. All of the MR images were converted to TIFF format. The continuities between different blocks of the data were corrected to form a whole body. Furthermore, the resolution of the images was changed into 2×2mm. Male and female models were segmented into 51 tissues and organs. This segmentation was performed manually using popular image-processing software. The developed models consisted of isotropic voxels with a side of 2mm. Although the masses of the skin and small-sized tissues and organs of the models deviated from the averaged values for Japanese due to the limitation of spatial resolution, the masses of the other tissues and organs and the morphometric measures were nearly equivalent to those of the average Japanese. The models are the first voxel models of the average Japanese that can be used for the dosimetry of electromagnetic fields over 1GHz. Furthermore, the female model is the first of its kind in the world. The models can also be used for various numerical simulations related to Japanese human bodies in other fields of research.
著者
渡辺 敏 井澤 和大 小林 亨 平澤 有里 松澤 智美 大宮 一人
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.442-442, 2003

【目的】大動脈瘤症例は慢性期の再解離や血圧評価に一定の見解がないため,客観的な評価手段がなく運動療法の効果判定が困難である。我々はSF-36を効果判定として利用することを考え,遠隔期の症例に断片調査を実施しその有用性を報告した。今回はSF-36とHAD(Hospital Anxiety and Depression)を利用して急性期症例の断片調査と,2症例の追跡調査を実施したので報告する。【方法】当院で急性期治療を受け外来通院中の大動脈瘤症例を対象に,本調査の趣旨を説明し同意を得てSF-36とHADの質問調査を実施した。急性期断片調査は内科治療5例(68歳±9歳)・外科治療5例(58歳±9歳)を退院時に調査した。追跡調査は外科治療を受けた2例(症例A65歳・症例B44歳)を,退院時と術後3ヵ月の2回調査した。【結果】急性期断片調査結果は,内科例外科例それぞれHADの平均値anxietyが12・11,depressionが15・14で,SF-36各項目の平均値は身体機能(PF)65・58,身体的日常役割機能(RP)25・50,体の痛み(BP)70・51,全体的健康観(GH)54・39,活力(VT)46・48,社会生活機能(SF)55・53,精神的日常役割機能(RE)20・67,心の健康(MH)61・67であった。2症例の追跡調査結果は,症例AはHADの平均値anxietyが11から11,depressionが11から12と変化し,SF-36各項目の平均値はPF45から80,RP100から100,BP61から90,GH50から57,VT5から55,SF75から87.5,RE100から100,MH60から92と変化した。症例BはHADの平均値anxietyが14から12,depressionが15から12と変化し,SF-36各項目の平均値はPF55から85,RP50から100,BP 74から100,GH20から57,VT50から65,SF62.5から75,RE33.3から100,MH52から83と変化した。【考察】急性期断片調査結果ではHADの値が高く,身体運動能力の改善と血圧管理の会得による,不安の改善が重要であると考えられた。SF-36では内科例でRP・REの低下を,外科例ではGH・VTの低下を認め,遠隔期とは違う経時的な因子の影響が予測された。2症例の追跡調査結果ではHADの改善傾向とSF-36の明らかな改善を認めた。これは運動療法の実施によって症例のQOLが改善したことを示したと考えられ,運動療法効果の判定が可能であると考えられた。【まとめ】大動脈瘤症例の運動療法効果判定としてSF-36を利用して,急性期断片調査と2症例の追跡調査を実施した。SF-36での運動療法効果判定が可能であると考えられ,今後症例の追加検討が必要であると考えられた。
著者
中西 洋喜 加藤 治久 渡辺 敏暢 石上 玄也 西牧 洋一 丸木 武志 吉田 和哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.655, pp.45-51, 2002-02-15

流星は,彗星を起源とする塵が大気圏に突入して発光する現象であり,この塵には生命の起源となった有機物が含まれている可能性が示唆されている.本論文では,しし座流星群をはじめとする様々な流星群を,大気圏外から観測を行い,イメージおよび分光データを取得する小型衛星,LEOLEO(Leonid-Meteor Observer in Low Earth Orbit)-IIを提案する.本衛星には,I.I.CCDカメラ及び分光器が搭載される.これにより地上からでは大気の影響で観測が極めて困難であった,流星の紫外線領域での分光観測が可能となり,これまで得ることができなかった貴重なデータを得ることが期待できる.
著者
星野 敢 永田 松夫 渡辺 一男 山本 宏 田崎 健太郎 渡辺 敏
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.2668-2673, 2002-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 1

症例は50歳,女性.心窩部不快感,黒色便出現にて近医受診となった, 1998年8月11日上部消化管内視鏡検査施行され,易出血性の腫瘍を認めたため,同8月14日精査加療目的にて当科紹介入院となった.上部消化管造影検査・内視鏡検査にて,胃穹窿部後壁に基部を有する腫瘤性病変が,幽門輪を越えて十二指腸球部に脱出しており,腫瘤は体外からの圧迫により胃内に容易に還納された.また前庭部後壁にO-IIc病変を認めた.生検の結果はそれぞれ,過形成性ポリープ(group II)と,低分化腺癌であったため, 1998年8月27日,幽門側胃切除術およびポリープ切除術を施行した. 胃内の腫瘤が十二指腸に脱出する報告は多数認めるが,自験例のように胃の上部に発生した腫瘤が十二指腸に脱出することは比較的稀であり,若干の文献的考察を加えて報告した.
著者
井上 美保 井口 隆文 川田 あゆみ 佐藤 直樹 渡辺 敏郎 段 武夫 田辺 創一 武藤 徳男
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.499-504, 2008

大麦醗酵エキスと赤紫蘇エキスを主成分とした大麦赤紫蘇飲料の摂取がスギおよびヒノキ花粉症患者の症状に及ぼす影響について検討した。被験者は, スギ花粉症の症状を有し, 血液検査でスギRASTスコァーが陽性と判定された25人を対象とし, スギ花粉が飛散する前から大麦赤紫蘇飲料を飲用するA群と花粉が飛散してから飲用を開始するB群の2群に分けて実施した。くしゃみと鼻水 (鼻をかんだ回数) のスコアーでは, スギの花粉が飛散するとB群のスコアーが常に高値を示し, 症状が悪化した。一方で鼻詰まりと目のかゆみに関しては両群ともに差は認められなかった。鼻症状の総合的判断である鼻Symptom ScoreとSymptom Medication Scoreでは, スギの花粉飛散後, B群が高値を示し, A群は軽症であった。大麦赤紫蘇飲料は, 大麦醗酵エキスを主成分とする飲料であり, 大麦赤紫蘇飲料による花粉症症状の軽減効果は, 主として大麦醗酵エキス成分による効果と考えられた。
著者
渡辺 敏郎 川田 あゆみ 井上 美保 石原 伸治 辻 啓介
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.415-418, 2007-09-15
参考文献数
13
被引用文献数
2 3

カキドオシ抽出物が本態性高血圧自然発症ラット(SHR)への血圧上昇抑制に対してどのような影響を及ぼすかを検討した.カキドオシ全草から熱水抽出することで収率20%のカキドオシ抽出物を得た.この抽出物には灰分が多く含まれ,特にカリウム(K)含量が高かった.カキドオシ抽出物を飼料中へ5%添加し,28日間SHRに自由摂取させると,試験14日後から対照群に比べて有意に血圧の上昇を抑制した.24時間尿を採尿し,ナトリウム(Na)およびK排泄率を算出したところ,カキドオシ抽出物を摂取することでNaおよびK排泄率ともに有意に増加した.これはカキドオシ抽出物に含まれるKの摂取によりSHRのNa排泄効果を促したことで,血圧上昇抑制作用を示したものと考えられた.
著者
石原 伸治 川田 あゆみ 井上 美保 渡辺 敏郎 辻 啓介
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.412-414, 2007-09-15
参考文献数
8
被引用文献数
2

正常ラットにおけるカキドオシ抽出物の経口糖負荷試験では,ショ糖負荷30分後から60分後にかけての血糖値で,カキドオシ抽出物群は対照群と比べて有意(<I>p</I><0.01)な上昇抑制効果を示した.また,ストレプトゾトシン糖尿病ラットにおける経口糖負荷試験では,ショ糖負荷60分後から90分後にかけての血糖値で,カキドオシ抽出物群は対照群と比べて有意(<I>p</I><0.05)な上昇抑制効果を示した.さらに,カキドオシ抽出物を固相抽出カラムでシリカゲル担体吸着画分と非吸着画分に分けたところ,非吸着画分に血糖値上昇抑制作用が認められた.
著者
加藤 陽治 伊藤 聖子 渡辺 敏幸
出版者
弘前大学
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.91-96, 2001-10
被引用文献数
3

果実類11品種(キウイ,イチゴ,モモ,カキ,アボカド,プルーン,リンゴ,イチジク,バナナ,パイナップルおよびミカン)の水不溶性食物繊維の多糖組成比較を行った。各果実の可食部から水不溶性細胞壁画分を調製,これを乾燥させ,糖組成分析と糖結合様式分析に供した。さらに,水不溶性細胞壁画分はペクチン様物質,-ミセルロース画分およびセルロース画分に分画し,それぞれの画分の糖組成分析を行った。水不溶性細胞壁多糖はいずれの果実も,ペクチン様物質画分はおもに中性糖を含むラムノガラクツロナン,-ミセルロース(ⅠおよびⅡ)画分はおもにキシラン系多糖,ガラクタン系多糖およびキシログルカン,そしてセルロース画分はセルロースから構成されており,これらの比率はキウイで28:19:53,イチゴで38:15:47,モモで25:22:53,カキで16:14:70,アボカドで28:35:37,プルーンで26:32:42,リンゴで30:20:50,イチジクで38:15:47,バナナで24:31:45,パイナップルで19:44:37,ミカンで26:15:59であった。