著者
永井 栄美子 奥田 みずほ 潘 凌風 鈴木 信孝 許 鳳浩 滝埜 昌彦 瀧川 義澄 伊勢川 祐二 榎本 俊樹
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.61-66, 2017-09-30 (Released:2017-10-06)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

目的:近年,インフルエンザウイルス(IFV)において薬剤耐性株が出現し始め,問題となっている.新たなIFVの予防法や治療法の開発を行うことを目的に,ハトムギ反応生成物 (Coix-seed Reactive Derivatives: CRD)エキスの抗IFV作用を検討した. 方法:MDCK細胞にH1N1 A/Puerto Rico/8/34(PR8)株を感染させ,CRDエキス含有培地で24時間培養した.24時間後に上清のみを回収し,上清中のウイルス力価をフォーカス法により測定した.PVPP処理によりCRDエキス中のポリフェノールを除去し,除去前のCRDエキスとの抗IFV作用を比較した. 結果:CRDエキスはPR8株の増殖を阻害した.また,Time of addition assayの結果,CRDエキスはIFVの吸着時を最も阻害していることが判明した.さらに,CRDエキスのPVPP処理による検討から,ポリフェノールが有効成分である可能性が示唆された. 結論:CRDエキスはPR8株に対して抗IFV作用を示し,さらにIFVの細胞への吸着阻害のみならず,IFVの増殖時においても阻害作用を示した.また,CRDエキスの抗IFV作用にはポリフェノールが関与していることが示唆された.