330 0 0 0 OA 運動と免疫

著者
鈴木 克彦
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.31-40, 2004 (Released:2004-04-27)
参考文献数
59
被引用文献数
1

適度な運動は免疫能を高め,感染症や癌の予防に有効とされる一方,激しい運動やトレーニングは免疫能を弱め,炎症やアレルギーを助長するとされる.これらの機序については,激しい運動やトレーニングに伴い血中 NK 細胞・ T 細胞の数や機能,分泌型 IgA の唾液濃度などが一過性に低下し,免疫抑制作用のあるストレスホルモンや抗炎症性サイトカインが分泌され,易感染性につながると考えられている.一方,激運動に伴い好中球・単球が動員され活性酸素の産生が高まり,炎症反応や酸化ストレスを引き起こすが,適切な栄養・休養に加え,抗酸化物質等のサプリメントの使用によりこれらの反応を制御できる可能性が示されつつある.また,適度な運動習慣がストレスや感染に対する抵抗力(防衛体力)を強化するという科学的根拠が集積されつつある.本稿では予防医学・補完代替医療の適用の是非を念頭に置いて,運動免疫学分野の最新の研究成果を紹介する.
著者
謝 心範 山本 理
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.73-81, 2020-05-26 (Released:2020-06-09)
参考文献数
32

新型コロナウイルス感染症が中国の武漢で突然爆発的に蔓延した現象は世界の人々へ大きな驚きと衝撃を与えた.医療現場では,確実な治療法や治療薬も無い局面にどう対応すべきか混乱し,確かな効果を求める切迫した願いも強くなった.そのような状況下,漢方薬の出番があり,自然植物由来の「三薬三方」(3 つの薬と3 つの方剤の意)すなわち,金花清感顆粒,連花清瘟カプセル,血必浄注射液と宣肺敗毒湯,清肺排毒湯,化湿敗毒方の作用と効果がCOVID-19 感染症の現場から報告されたので紹介する.「三薬三方」は,植物由来成分の潜在力を総合的に利用し,人体自身の自己治癒力と免疫系の賦活,障害要因に対する抵抗力強化を可能にするものである.新型コロナウイルス感染症の現場から報告されている「三薬三方」の様々な効果は単一成分によって発揮されているのではないことは明白である.作用機序,原料,処方,加工法,効果,安全性の向上など更なる研究が必要である.
著者
鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.141-151, 2018-09-30 (Released:2018-10-12)
参考文献数
20

妊娠中のハトムギ使用について解説した.市販のハトムギ茶を妊娠中に摂取して流産や早産になるという証拠はなく,産後に市販のハトムギ茶摂取を禁ずる科学的根拠もない.したがって,妊婦が常識の範囲内でハトムギ茶を飲用もしくはハトムギ調理品を食することは,問題ないと考えた.ただし,ハトムギ摂取に過敏になっている妊婦は,無理にハトムギ飲食を行う必要はない.また,妊娠中のハトムギ摂取に関しては医師に相談することが肝要である.妊娠中のハトムギの製薬であるヨクイニンの内服については,必ず産婦人科医師の管理のもとに行うべきである.また,ハトムギの栄養補助食品も,妊娠中は中止するか,もしくは医師と相談の上で使用するのが望ましい.ただし,妊娠中にこれらの医薬品や食品を飲み続け,流産,早産,児の奇形等が発症したとする報告はない.妊娠中はハトムギ摂取を控えるべきであるという伝承については,ハトムギに麦角菌が感染し,産生された麦角アルカロイドによる子宮収縮が深く関与していたという仮説を立てた.また,小麦・大麦・ライ麦,トウモロコシなど麦角菌に感染する可能性のあるイネ科植物の麦角アルカロイド汚染の有無を知ることは,妊婦の流産・早産予防上,重要であることも指摘した.
著者
井澤 修平 城月 健太郎 菅谷 渚 小川 奈美子 鈴木 克彦 野村 忍
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.91-101, 2007 (Released:2007-10-19)
参考文献数
78
被引用文献数
42 26

近年,疾病予防などの観点からストレスの評価法に注目が集まっている.本稿では唾液を用いたストレス評価について概説した.人の唾液には様々なストレス関連物質が存在することがわかっており,非侵襲的なストレス評価法として利用できる可能性が考えられる.唾液採取,検体の取り扱い,測定などの基本的事項を紹介し,唾液より測定可能な 7 つの物質(コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン,テストステロン,クロモグラニン A,3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルグリコール,α アミラーゼ,分泌型免疫グロブリン A)の各種ストレスとの関連や使用の際の留意点を概観した.最後に目的や状況に応じた唾液によるストレス評価の方法や今後の課題について述べた.
著者
上馬塲 和夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.63-76, 2004 (Released:2004-04-27)
参考文献数
65
被引用文献数
1

世界の4大伝統医学(中国,インド,チベット,イスラム)は共通して,体だけでなく心とSpiritualityのレベルへのホリスティックなアプローチ法を有している.古い伝統医学ではあるが,将来の生命科学の雛形となる可能性がある.
著者
西谷 真人 杉野 友啓 門脇 孝徳 﨑川 伸基 西川 和男 梶本 修身
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.113-116, 2010 (Released:2010-10-15)
参考文献数
4
被引用文献数
2 2

プラズマクラスターイオン®の肌保湿効果および快適性向上作用について検討するため,肌の乾燥を感じやすい健常女性 32 名を対象とした単盲検ランダム化 2 試験区クロスオーバー試験を実施した.対照と比較して,プラズマクラスターイオン濃度 2.5 万個/cm3 では,有意な肌水分量の増加がみられ,イオン濃度 7 千個/cm3 では,有意な快適感の上昇がみられた.プラズマクラスターイオンが肌保湿効果や快適感向上作用を有することが示唆された.
著者
渡邉 映理 木村 真理 クフタ ケニー 亀井 勉 今西 二郎
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.107-115, 2013 (Released:2013-10-30)
参考文献数
15

【目的】本研究では,パーソナルコンピュータ (PC) 作業者に,精油を用いた芳香浴を行った.PC 作業を行いながら様々な種類の精油を吸入し,生理,心理,免疫学的パラメータの変化と,心身の疲労軽減の有無について包括的に検討した. 【デザイン】ランダム化クロスオーバー比較試験 【方法】対象者は,平均年齢 22.38 ± 1.30(範囲 21–24)歳の健常男子 8 名であり,試験は京都府立医科大学倫理審査委員会の承認下で行われた.対象者は条件により異なる香りを吸入しながら 120 分間の PC 作業を行った.前後で 10 分間の安静状態を保ち,生理,心理,免疫学的機能を評価した.試験は異なった日に 6 条件(香りなし,グレープフルーツ,真正ラベンダー,ペパーミント,ブレンド A,ブレンド B)で行った. 【結果・結論】精油が PC 作業者の自律神経系,免疫系,心理に影響を及ぼしており,精油の種類によっても生体反応が異なることが示唆された.なかでも特に,ペパーミント精油に疲労軽減効果があることが示された.
著者
鄒 歩浩 福沢 嘉孝 阿部 哲朗 許 鳳浩 太田 富久 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.35-41, 2016-09-30 (Released:2016-10-14)
参考文献数
55

カイジ顆粒は健康食品として日本に入ってきたが,もともと中国では新薬として開発され,処方薬の一つとなっているため,基礎研究や臨床応用も数多く,エビデンスも積み重ねられてきた.カイジ顆粒の応用は多岐に渡るが,本総説はデータのもっとも多い肝臓癌に対するカイジの影響についてまとめた.
著者
鈴木 克彦 秋本 崇之
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.69-74, 2012 (Released:2012-10-24)
参考文献数
32
被引用文献数
1

近年の microRNA (miRNA) の発見と,血中に miRNA が安定に存在しているという知見は,バイオマーカーとしての miRNA の可能性を示した.さらに最近,血中に分泌された miRNA が他所にて遺伝子発現を抑制しうると報告されるに及び,従来のホルモンやサイトカインを中心とした細胞間情報伝達の概念は大きく変更を余儀なくされる可能性がある.そこで本総説では,血中 miRNA の種類や機能について概説し,バイオマーカーとしての miRNA に関する最新の知見をまとめ,身体運動の影響を含めたストレス負荷条件における変化や予測される機能に関して概説する.
著者
藤本 靖
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-43, 2005 (Released:2005-03-11)
参考文献数
13

ロルフィングは,軟部組織に働きかけることにより重力場において身体全体を最適にバランスさせる手技療法である.ここでは,ロルフィングの現状,歴史,理論的背景について概観し,その効果についての研究結果を紹介する.
著者
井澤 修平 城月 健太郎 菅谷 渚 小川 奈美子 鈴木 克彦 野村 忍
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.91-101, 2007
被引用文献数
17 26

近年,疾病予防などの観点からストレスの評価法に注目が集まっている.本稿では唾液を用いたストレス評価について概説した.人の唾液には様々なストレス関連物質が存在することがわかっており,非侵襲的なストレス評価法として利用できる可能性が考えられる.唾液採取,検体の取り扱い,測定などの基本的事項を紹介し,唾液より測定可能な 7 つの物質(コルチゾール,デヒドロエピアンドロステロン,テストステロン,クロモグラニン A,3-メトキシ-4-ハイドロキシフェニルグリコール,α アミラーゼ,分泌型免疫グロブリン A)の各種ストレスとの関連や使用の際の留意点を概観した.最後に目的や状況に応じた唾液によるストレス評価の方法や今後の課題について述べた.<br>

5 0 0 0 運動と免疫

著者
鈴木 克彦
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.31-40, 2004
被引用文献数
3

適度な運動は免疫能を高め,感染症や癌の予防に有効とされる一方,激しい運動やトレーニングは免疫能を弱め,炎症やアレルギーを助長するとされる.これらの機序については,激しい運動やトレーニングに伴い血中 NK 細胞・ T 細胞の数や機能,分泌型 IgA の唾液濃度などが一過性に低下し,免疫抑制作用のあるストレスホルモンや抗炎症性サイトカインが分泌され,易感染性につながると考えられている.一方,激運動に伴い好中球・単球が動員され活性酸素の産生が高まり,炎症反応や酸化ストレスを引き起こすが,適切な栄養・休養に加え,抗酸化物質等のサプリメントの使用によりこれらの反応を制御できる可能性が示されつつある.また,適度な運動習慣がストレスや感染に対する抵抗力(防衛体力)を強化するという科学的根拠が集積されつつある.本稿では予防医学・補完代替医療の適用の是非を念頭に置いて,運動免疫学分野の最新の研究成果を紹介する.<br>
著者
鈴木 里芳 徳田 春邦 鈴木 信孝 上馬塲 許 鳳浩 川端 豊慈樹 太田 富久 大竹 茂樹
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.75-85, 2013 (Released:2013-10-30)
参考文献数
35
被引用文献数
8 2

ハトムギ [Coix lachryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf] の子実は,これまで伝統薬として,中国や日本で古くから利用され,抗腫瘍,抗肥満,抗糖尿など様々な機能を持つことが報告されている.われわれは以前よりハトムギの渋皮,薄皮,外殻の生物作用に着目してきた.今回,従来より漢方などで使われてきたハトムギの子実の熱水抽出エキス(ヨクイニン)を比較対象として,子実,渋皮,薄皮,外殻のすべての部分を含む熱水抽出エキス (CRD),ハトムギの有用成分である Monoolein と Trilinolein の抗腫瘍,抗炎症作用を検討した.ヒト由来癌細胞に対する細胞増殖抑制作用については,乳癌細胞 (MCF-7),肺癌細胞 (A-549),喉頭癌細胞 (Hep-2) を用いて評価した.結果は両エキス,Monoolein, Trilinolein ともに各癌細胞に対して弱い増殖抑制効果を認め,その作用はヨクイニンよりも CRD, Monoolein, Trilinolein の方がより強かった.また,発癌予防作用については,ヒトリンパ腫由来の Raji 細胞と発癌プロモーターである TPA (12-O-Tetradecanoylphorbol-13-acetete) を用いて,特異抗原発現能により評価した.結果は両エキス,Monoolein, Trilinolein ともに特異抗原発現を減少させた.また,ヨクイニンより CRD, Monoolein, Trilinolein がより強く発現を抑制した.一方,Monoolein は Trilinolein よりも強く抑制した.次に,ハトムギの抗炎症作用を検討するために,マウス皮膚上皮由来正常細胞に被検物質を作用させ,紫外線 (UVB) 照射前後ならびに加熱障害前後の細胞形態変化により評価した.結果は UVB 照射前後にかかわらずヨクイニンよりも CRD, Monoolein, Trilinolein が有意に細胞障害を抑制した.また,加熱障害前後については,ヨクイニンの方が CRD より細胞障害を抑制し,Monoolein は Trilinolein より有意に細胞障害を抑制した.以上のことから,子実以外にも渋皮,薄皮,外殻が有用であることが示唆された.さらに,Monoolein と Trilinolein は抗腫瘍,抗炎症を有することが示された.
著者
許 鳳浩 長谷部 久乃 石原 克之 伊藤 政喜 上馬塲 和夫 鈴木 信孝
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.23-26, 2017-03-31 (Released:2017-04-05)
参考文献数
12

フルーツグラノーラの摂取が排便状況およびQOLに与える影響について検討するため,排便回数が週に5回以下の女性20名(平均年齢20.0 ± 1.1歳)を対象としたオープン臨床試験を行った.フルーツグラノーラ1日当たり50 gを,1食の主食に置き換えて2週間連続摂取させ,摂取前後の排便状況やQOLを比較した.試験の結果,フルーツグラノーラ摂取後は,摂取前と比べて摂取2週間目で排便回数の増加( p =0.014),排便量の増加(p =0.024)が見られ,全体的なQOLの向上(p =0.011)も認められた.このことから,フルーツグラノーラの摂取は排便状況の改善やQOL向上に有効である可能性が示唆された.
著者
鈴木 信孝 許 鳳浩 上馬塲 和夫
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.113-116, 2018-09-30 (Released:2018-10-12)
参考文献数
18
被引用文献数
2

Coix-seed Reactive Derivatives (CRD)の摂取がアレルギー性疾患に有効かもしれないという証拠が集積されつつある.そこで今回,CRDのTh1/Th2バランスに対する影響について検討した.健常な成人8名にCRD 6g/日を4週間摂取させ,摂取前後の血中Th1/Th2の値を比較した.結果は,Th2とTh0が有意に減少し,有意ではなかったものの相対的にTh1/Th2は上昇した.今後はさらに例数を増やしてCRDの免疫調節作用について検討したい.