著者
奥田 穣
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, 1980-09-15

豊富な気象資料に基づいて, 地すべりと崩壊のうち, 特に崩壊に関係する降雨特性について論じている。11年間に及ぶ全国の山くずれ発生件数の年変化, 神奈川県と鹿児島市内における50年ないし3年間に及ぶ崩壊発生事例, 北陸地方での地すべりの発生などに関するこれまでの研究報告を参考として, 崩壊現象と降雨量との間に存在する巨視的な因果関係について述べている。同時に, 1時間雨量, 24時間雨量, 10分間降雨量との関係から, 崩壊と降雨量との関係を具体的に論じている。すなわち, 24時間雨量では200mm, 1時間雨量では20mm以上になると崩壊が激増すること, 崩壊は1時間最大雨量の出現直後から3時間までの間に多発すること, 10分間降雨強度で5mm以上の強い雨が長時間集中すればするほど崩壊発生数が増大すること, 降雨強度はパルス状に20分程度の小変動が繰返し継続するもので崩壊はその第2波ないし第3波の山で発生し, 特に, 第3波以降に多いとしている。以上のように, 崩壊に関する降雨の影響は時間とともに変化して動的であることが理解される。