著者
奥野 吉宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.73, no.9, pp.374-378, 2023-09-01 (Released:2023-09-01)

公立図書館のシステムは,リース契約による調達が一般的である。そのため,リース期間満了毎に更新を行うこととなるが,公立図書館向けシステムに標準となる仕様はないのが現状であり,各図書館は必要とするすべての機能を仕様書に載せなければならない状況にある。このような公立図書館システムの課題とその取組について,仕様書の作成を中心に,筆者が勤務する京都府立図書館の事例を交えながら紹介する。また,図書館システムが保持するデータについても標準化されておらず,システム更新時の新旧システム間でのデータ移行(特に,システムベンダーが変わる際のデータ移行)のリスク要因となっている。この課題の解決に向けて,日本図書館協会に設置された「図書館システムのデータ移行問題検討会」に,筆者は委員として関わったことから,この報告書の内容を中心に,検討会の成果と今後の課題について報告する。