著者
三上 文三 安達 基泰 水谷 公彦 高橋 延行 姜 有那 平田 章 山根 愛子 坂 直樹 河村 広和 侯 雪妮 森 湖太郎
出版者
一般社団法人 日本応用糖質科学会
雑誌
応用糖質科学:日本応用糖質科学会誌 (ISSN:21856427)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.79-86, 2021-05-20 (Released:2022-03-09)
参考文献数
23

凍結結晶法によるX線結晶構造解析では凍結の影響や凍結保護剤の問題があり,結晶中での酵素の構造変化を正しく評価することは困難である.酵素と基質(基質アナログ)複合体のpH変化による構造変化を調べることは,酵素反応前後の構造変化を捉えることに繋がる.著者らはβ-アミラーゼの酵素反応機構を明らかにするために本酵素の基質アナログであるグルコース,マルトースと基質であるマルトペンタオースを用いて,野生型酵素と変異体酵素について非凍結結晶の結晶中でのpH変化による複合体構造の変化を追跡した.その結果,触媒残基の二つのGlu残基(酸触媒残基であるGlu186と塩基触媒残基であるGlu380)の解離が酵素と基質の構造変化に大きく関わり,本酵素反応を高効率化していることを明らかにした.