- 著者
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孫 漢洛
- 出版者
- 近畿大学臨床心理センター
- 雑誌
- 近畿大学臨床心理センター紀要
- 巻号頁・発行日
- no.3, pp.95-105, 2010-10
[要約] 年間の自殺者が3万人を超え、同時に自傷行為を繰り返す人達が増え続けるなかで、自傷する側の論理、治療する側の論理で自傷行為を考え直し両者の溝を埋める必要がある。自傷行為は決して「生きるため」だけの行為や「気を引くため」の行為ではなく、自殺関連行動である。我々は自傷を繰り返す彼・彼女らに対して、自傷=境界性パーソナリティ障害といった迷信にとらわれてはいけない。自傷行為じしんを治療対象と考えるのでなく、自傷を繰り返す彼・彼女らの"クール"な援助者(サポーター)になることを目指してもいいのではないだろうか。