著者
孫 知延
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.57-68, 2000-05-10 (Released:2017-08-01)

一九二〇年、日本留学から帰国した金一葉らによって雑誌『新女子』が創刊された。女性の文学表現の場から、女性の主体性を立ち上げてゆこうとした意図には『青鞜』の影響が確かめられる。しかし、母性に統合されてゆく面をもった『青鞜』と違い、『新女子』における女性の主体性は、民族の主体回復の啓蒙的言説、上位概念とされる民族イデオロギーによって周辺化される。そこにひそむ男性中心のジェンダー秩序、帝国のイデオロギーを探る。