著者
小池 新平 宇佐美 佳秀
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.45-49, 2011-01-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 3

牛呼吸器病由来Mycoplasma bovis(M. b)52株の薬剤感受性とマクロライド(ML)耐性機構にかかわる23S リボゾームRNA(rRNA)のドメインV領域を調べた.タイロシン(TS)耐性は,3株(5.8%)に認め,うち2株(3.8%)はリンコマイシン(LCM)耐性を示した.チルミコシンの最小発育阻止濃度(MIC)は≦0.1~>100μg/ml で,24株(46.2%)が高いMIC(>100μg/ml)を示した.エンロフロキサシンは2株(3.8%),カナマイシンは1株(1.9%)に耐性を認めた.オキシテトラサイクリン,チアンフェニコール,フロルフェニコールおよびチアムリンに耐性は認めなかった.TS-LCM耐性の2株のうちの1株で,23S rRNAのドメインV領域の2058位にアデニン(A)→グアニン(G)置換が確認された.いっぽう,残りのML耐性または低感受性株には当該領域の変異は認めなかった.したがって,M. bは23S rRNAのドメインV領域の変異に加えさらに他の耐性機構によりML耐性を獲得している可能性が示唆された.