著者
片桐 誠二 富内 侃 世古 佳文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.37, no.11, pp.741-744, 1984-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14

1981年12月12日, 四日市市内のM旅館で冷凍熊肉を生食した5名のうち4名が, 1981年12月27日から1982年1月10日にかけて痒み, 発疹, 筋肉痛, 顔面浮腫等の症状を呈し, 津市内の病院で診察の結果, 旋毛虫症の疑いがもたれた. そこで, M旅館に残存した熊肉を検査したところ, 旋毛虫 (Trichinella spiralis) を確認した. また, この熊肉の流通状況, 摂食状況を調査し, 旋毛虫症の疑いのある者413名全員に個別にアンケートし, 全員の採血をし, 血清検査をした結果, 津市内の病院の患者を含め60名が陽性と判定された. 熊肉は, 兵庫県, 京都府山中で狩猟されたツキノワグマ (Selenarctos thibetanus) で, 凍結状態 (-15℃~-30℃) で流通し, M旅館でサシミとして提供されたものであった.
著者
福井 祐一 福井 祐子 吉村 啓太 猪熊 壽
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.97-100, 2016

Anaplasma phagocytophilumはマダニが媒介するリケッチアである.人及び動物の顆粒球性エーリキア症の原因菌として知られている.海外渡航歴のないシーズー,避妊雌,3歳齢がマダニ刺咬後1週間後に元気食欲の低下と発熱を呈し,血液検査では血小板減少,軽度の好中球減少,肝酵素及びCRPの上昇を認めた.血清A. phagocytophilum抗体が弱陽性を示し,EDTA全血のPCR検査にてA. phagocytophilumが陽性を示したことから,A. phagocytophilum感染症と診断した.ドキシサイクリンによる治療を開始したところ,明らかな臨床症状の改善と,血小板数及び好中球数の顕著な増加を認めた.本例は犬における本邦初のA. phagocytophilum感染症の報告である.

11 0 0 0 OA 腎症候性出血熱

著者
森田 千春
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.149-156, 1987-03-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
41
著者
小林 憲一郎 矢澤 慈人
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.705-708, 2009-09-20 (Released:2016-09-03)
参考文献数
15

豚回虫卵,豚鞭虫卵,腸結節虫卵の検出状況を全国の養豚場で調査した.材料には2005年9月~2007年3月に全国150カ所の養豚場で採取した豚の糞便4,221検体をもちいた.虫卵検査はショ糖液浮遊法によって実施した.虫卵検出率は,豚回虫卵2.0%,豚鞭虫卵2.1%および腸結節虫卵2.5%であった.検出率を肥育豚,母豚,種雄豚で比較したところ,豚回虫卵は母豚と種雄豚が,豚鞭虫卵は肥育豚と種雄豚が,腸結節虫卵は母豚が有意に高かった(P <0.05).39.3%の農場ではこれら3種の虫卵のうち1種以上の虫卵が検出された.また,15.3%の農場では2種以上の虫卵が検出された.今回の調査から,国内の養豚場ではこれら3種の寄生が依然としてみられ,各農場での寄生状況を把握して適切な対策を実施することが重要であると考えられた.
著者
大関 好明 本田 充 首藤 健一 信永 利馬
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.616-621, 1991-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9

ヒキガエル中毒は多くの臨床家が経験しているものと推察されるが, その実態は明らかでない. かかる観点から今回, 犬におけるヒキガエルによる実験的中毒を試みた.供試犬は臨床上健康と思われた9頭で, 捕獲した野生のヒキガエルを摂食および噛齧させ, のち経時的に観察した.摂食犬は, ヒキガエルの大小や犬の体重等に関わりなく摂食約60分後に2頭, 10時間-12時間の間には全例に嘔吐が認められ, のちにNo.7を除き次第に正常に復した.いっぽう, 生体を噛齧した2頭はその直後に流挺, 頭振等のジギタリス様中毒症状を呈し, のちに次第に正常に復した. 一部供試犬の摂食前, 後の血液学的変動は, ほぼ生理学的変動の範囲内の変化であった. さらに剖検による炎症の程度は個体により異なったが, 小腸炎が全剖検犬の88.8%(8頭/9頭) に認められた.
著者
真田 直子 真田 靖幸
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.61-65, 2007-01-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
21
被引用文献数
1 or 0

オウム嘴羽病 (PBFD) の診断において, セキセイインコでは, 従来のPCR法で検出できない変異型ウイルスの感染が高率に存在することが明らかとなり, これらの変異株を広く検出できる新しいOgawaらのPCR法の有用性を確認した. これを受けて, 全国58ヵ所の動物病院への来院鳥および12ヵ所のペットショップでの飼育鳥1, 070羽について, OgawaらのPCR法によるPBFDの疫学調査を実施した. その結果, 一般家庭での飼育鳥770羽の陽性率は19.2%であったのに対し, ペットショップでの飼育鳥300羽の陽性率は16.7%であり, 全体では18.5%であった. PBFDウイルスは全国的に広く浸潤しており, 陽性率は鳥種に依存していた. セキセイインコ (40.1%), 大型白色オウム類 (24.2%) およびヨウム (21.2%) では, 高い陽性率を示した. また, 鳥種によって臨床症状の発現様式が異なることも明らかとなった.
著者
芝崎 繁樹 唐牛 靖吾
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.351-354, 1982-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
7

犬の取り扱いについては, 従来より針金による方法が用いられているが, 腕1本を頼りとした非常に危険をともなう作業である. 今回著者らは, 野犬の捕獲および大型犬の取り扱いに対して, 吹き矢麻酔の応用を行ったところ, 有効な結果が得られたので報告する.
著者
矢田 新平 原 広幸 北野 寿 下内 可生里
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.687-690, 1994-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11

被毛や肢端に付着した陶芸用絵具あるいはその原料を舐めていた猫1頭 (8歳) と犬2頭 (2歳6ヵ月, 50日) が消化器症状および神経症状を呈し, 異常に高い血中鉛濃度54 (猫), 240 (犬1), 46 (犬2) μg/dlを示した. X線検査では成長期の症例犬2の長骨骨幹端に鉛線 (骨幹端骨硬化症) が認められた. キレート療法を行ったところ, 症例猫と症例犬2は回復したが, 症例犬1は激しい痙攣を起こして死亡した.
著者
田村 悠 魚住 大介
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.145-148, 2018-03-20 (Released:2018-04-20)
参考文献数
14

症例はシーズー,去勢雄,12歳齢で,急性の嘔吐と腹囲膨満を主訴に来院した.腹部X線検査にて胃拡張が疑われたため,経皮的減圧を行った.胃からは約1l のガスと液体が抜去された.その後,状態は安定したため経過観察とした.6日後の再診時には一般状態に問題はなく,食欲及び排便も正常であった.しかし,その1カ月後に再度腹囲膨満を呈し,腹部X線検査にて胃拡張捻転症候群が疑われた.一般状態は良好だったため,再度経皮的減圧を行い一晩様子を観察したが,改善が認められなかったため,開腹手術を行った.胃は捻転し,脾臓及び小腸の変位が認められた.腹腔内臓器を整復した後,ベルトループ胃腹壁固定術を実施した.胃拡張捻転症候群は小型犬では報告は少ないが,本症例においては雪の多食が発症に関与した可能性が考えられた.
著者
小山田 隆 江坂 幸敏 工藤 上 吉川 尭
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.574-578, 1996-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
28

1992年7月~1995年12月に青森県東部地域で集められた18種の淡水魚総計44, 724尾について, 日本顎口虫の幼虫寄生を検索した.ドジョウ, ナマズ, ウキゴリ, ヤマメおよびウグイの5魚種から, 第3後期幼虫計322虫体を検出した.幼虫が検出された魚種はいずれも人への感染源になり得ると思われ, 特にヤマメを含むサケ科ならびにウグイを含むコイ科魚類は, 北日本で発生している人の日本顎口虫症の感染源として重視すべきものと考えられた.
著者
佐川 真由美 金子 武生 赤川 志郎 小野 憲一郎
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.871-874, 1995-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
2 or 0

給餌後の血漿クレアチニン (Cre) 値の増加の割合と摂食フード中のCre含有量とは高い相関性を有し, 高Cre含有フード給餌猫では血漿Cre値が摂食前値に復するまで約24時間を要した.猫の血漿Cre値の評価に当たっては, 給餌の影響を考慮する必要があると考えられた.
著者
湯木 正史 鈴木 清美 杉本 典子 樋口 貴志 鈴木 秀典 石川 勝行
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.721-724, 2004-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
11

免疫介在性溶血性貧血 (Immune-mediated hemolytic anemia: IMHA) と診断した犬2例に対し, プレドニゾロン, シクロスポリン, アザチオプリン, ヒト免疫グロブリン製剤, 輸血などによる治療を行ったが, 貧血の改善が得られなかった. そこでシクロスポリンの10~100倍の免疫抑制作用を持つとされるタクロリムス (FK506) を併用したところ, 1例では貧血の著明な改善が, 他の1例ではPCVの維持が認められた.
著者
松田 一哉 柳 充紘 秋山 義侑 才力 慎也 村田 亮 谷山 弘行
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.47-51, 2016

北海道におけるエゾシカ検査モデルにおいて,獣医師による解体時検査の実施されたエゾシカ368例のうち8例の肺に異常が確認された.このうち7例では,肉眼的に孤在性から多発性の硬結感のある結節性病変が認められ,組織学的にはアスペルギルス様真菌を伴う乾酪化肉芽腫もしくは乾酪壊死巣が認められた.うち3例については分子生物学的に<i>Aspergillus fumigatus</i>と同定された.以上から,7例は肺アスペルギルス症と診断された.シカの肺病変に占める割合の高さと病変の重篤化の点から,アスペルギルス症はシカの肺における重要な疾患であると考えられた.容易に触知できる病変を形成するため,解体時検査における触診検査が重要であり,個体の健康状態の把握のためにも適切な内臓検査の実施が不可欠であると考えられる.