著者
木原 将人 岩崎 美津子 野村 賢二 金原 輝紀 大嶋 るみ子 三橋 由佳 海老原 里香 常山 重人 若狭 幹雄 宇田 晋
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.241-245, 2007-03-28 (Released:2008-11-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1

透析中低血圧は糖尿病血液透析患者では頻繁に観察される. 今回, 透析中にCRIT-LINE™ (In-Line Diagnostics, UT, USA) を用いてplasma refilling rate (PRR) と循環血液量変化率 (ΔBV) とを検討した. 糖尿病患者10名と非糖尿病透析患者10名で, 各6回ずつの血液透析を施行し, 除水残量がドライウェイト3%の時点でヘマトクリットを測定し, ΔBVおよびPRRを算定した. その結果, 両群でPRRには有意差が認められなかった. しかし, ΔBVとPRRの相関をみると, 非糖尿病群では有意な相関関係がみられた (r=-0.64) が, 糖尿病群では認められなかった. 一方, ΔBVが9%以下の循環血液量の変化が大きい場合には, 糖尿病群では非糖尿病群に比較してPRRの有意な低下 (0.71±0.10 vs. 0.90±0.15, p<0.01) と平均血圧低下率が大きい傾向 (10.07±12.21% vs. 1.83±10.09%, p=0.11) が認められた. 以上の結果より, 糖尿病患者ではΔBVに応じたPRRが得られにくい場合が多く, このような病態が透析中低血圧の一因となる可能性が推測された.