著者
丸山 茂徳 宇都宮 敦 石川 晃
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.1035-1044, 2011-12-25 (Released:2012-03-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

オントンジャワ海台は太平洋中央部の太平洋スーパープルームによって白亜紀(122 Maと90 Ma)につくられた巨大な海台である。形成後,西方に移動し,オーストラリアプレートが北上することによってプレート相対運動が変化して,20-25 Maごろから海溝に沈み込みはじめた。その結果,ソロモン諸島には,それらの海台の破片が付加体として露出している。付加しはじめた時期については異論があり,これまでの多くの研究者は2 Ma 以降であると考えてきた。 しかしながら,われわれは地質調査と文献に基づいた証拠,すなわち一連の逆断層の形成と構造浸食,および20-25 Ma以降の沈み込み帯火山活動の停止から以下の解釈を行った。海台が25-20 Maに海溝に沈み込みを開始すると,海台のその浮力のために、沈み込み角度が低角度になり島弧火山活動が停止した。そして始新世以降の付加体を構造浸食して,崩壊物をマントルへと運んだ。また中新世におけるオントンジャワ海台の衝突と沈み込みが背後のウッドラーク海盆の拡大の開始のトリガーになったと思われる。 過去25-20 Maにわたるオントンジャワ海台の沈み込みは,付加体としては海台のごく一部(< 1%)のみを上盤側のプレートに付加したのみで,主要部のほとんどはマントル深部へ沈み込んだと思われる。これは顕生代の環太平洋造山帯に普通にみられる現象である。